はじめに
これは筑波大学学園祭 雙峰祭 の実行委員会の情報メディアシステム局のJsys Advent Calendar 2019
の24日目の記事です.
内容としては数学っぽい感じです. 数学の内容としては整数論かなって感じです.参考にした書籍は整数論1(雪江明彦),整数論2(雪江明彦)です.
クリスマス感ありますね……
— 0.Shun (@uk_osy) 2019年12月24日
ないですね pic.twitter.com/TghhsryD3d
パソコンからみないと見えるけど綺麗には見えないかと思います.
城島リーダーの結婚
城島茂さんが結婚をするというニュースがあったときに,24歳の方と結婚して歳の差が倍であるという内容が書かれてありました.そこで,ふと一年後にそれぞれ平方数の年齢になるなあと思いました. そのような組み合わせって他にあるんだろうかと思い,ちょっとJavaで書いて動かしてみたところ,結構ありました.
public class Leader { public static boolean square(int i) { int j = 0; while (j * j <= i + 1) { if (i + 1 == j * j) { if (square2(2 * i) == true) { return true; } else { return false; } } else { j++; } } return false; } public static boolean square2(int i) { int j = 0; while (j * j <= i + 1) { if (i + 1 == j * j) { return true; } else { j++; } } return false; } public static void main(String[] args) { for (int i = 0; i < 100000000; i++) { if (square(i) == true) { System.out.println(i); } } } }
ちなみに実行結果は以下のようになった.
0 24 840 28560 970224 32959080
しかし,結局無限に存在するのかということは分からなかったため,以下のようなツイートをしました.
昨日ね、24歳と48歳で結婚したら、48は24の倍じゃん
— 0.Shun(Aho) (@uk_osy) September 29, 2019
で、1足したら平方数じゃん
こんな組み合わせって他にあるのかなって思ったら、意外とあったっていう話
24,840,28560,970224,32959080
が一億未満である数なんだけど、有限個かどうか知りたいんだわ()
n+1=m^2
2n+1=k^2となるようなnは有限個か否か
すると,以下のようなリプが付きました.
ペル方程式の香りがします。√2 の連分数展開で無限に得られそうですね
— hsjoihs (@hsjoihs) September 29, 2019
https://t.co/ziAWrOQOXv
— hsjoihs (@hsjoihs) September 29, 2019
この 0, 1, 2, 5, 12, 29, 70, 169, 408, 985, 2378, 5741, 13860,… を一つ飛ばしに取って( 1, 5, 29, 169 ...)、二乗して1を引くと得られそうですね
なるほど.ペル方程式を使えば良いのか.という訳でペル方程式を使って無限に存在することを証明していきたいと思います. と書いておきながら,証明してないです.概要をさらっただけです.
ペル方程式とは
Mathepedia
Mathepediaに書いてあることをざっとまとめてみる.
紀元前800年頃,ヒンズー教徒の学者パウダーヤナは を提示した.これは方程式 を調べて得たものであると考えられ,この方程式の解は である.(も解) このがぺル方程式の最初の例だそうだ. 一般にはと書ける.(ここでは平方数ではない自然数) これらの方程式はジョン・ぺルとはほとんど関係がないのだが,レオンハルト・オイラー(の人って言えば分かるかな?)がペルとウィリアム・ブランカーとを混同し,ぺルの名前をつけてしまったとか.迷惑な話だ. ぺル方程式はインドではかなり古くから研究されており,紀元前628年にはブラーマグプタが著しい進展をもたらした.チャクラバー法は12世紀のバースから2世が導き出したもので,連分数によってぺル方程式を解く方法だ. (は任意の非平方数) は無限に多くの整数解があることを初めて厳密に証明した人物こそ,ジョゼフ・ルイ・ラグランジュである.
つまり,昔から知られており, (は任意の非平方数) というのがぺル方程式であるということである.
Let's proof!!
さあ,証明をしよう!!といきたいところですが,多分読んでる人は分からないかもしれないだろうということを書きたいと思います.書くことは,連分数と連分数展開についてです.それ以外とぺル方程式以外の説明ででてきた単語は数学IA程度の範囲なので分かっるでしょ.流石に. すみませ,力尽きました.証明してません.
連分数
連分数は習う人は数学Aの整数の辺りで習うのではないだろうか.
連分数の定義
このような形の分数を連分数という.
ここで, は実数で, とする. なぜ,でないかということは自明ですよね?例えば,負の数を連分数にしようとしたときに,最初の数さえ負になればよいですよね?
が有限個なら[ ]を有限連分数と言い,無限個の場合は[ ]を無限連分数という.
これから分かることは単純有限連分数で,が有理数であるものは明らかに有理数である.整数同士の分数で表すものが有理数であるのだからあたりまえといえば当たり前である.
ためしに何かを連分数にしてみよう.
とかにしてみよう.
\begin{eqnarray} \frac{514}{114} &=& 4+\frac{1}{\frac{114}{58}} \\ &=& 4+\frac{1}{1+\frac{1}{\frac{58}{56}}}\\ &=&4+\frac{1}{1+\frac{1}{1+\frac{1}{\frac{56}{2}}}}\\ &=&4+\frac{1}{1+\frac{1}{1+\frac{1}{28}}} \end{eqnarray}
これ,何かに似てませんか???
そう,ユークリッド互除法ですよね!!!
似ているというか,ユークリッド互除法そのものです.
習う人は学校や塾で,この方法で計算した方が早いよみたいなことを言われたかもしれません.
連分数展開
この,]という表示を 連分数展開 といいます.
ペル方程式を解こう
Mathepediaの箇所でも書いたように,ペル方程式の定義は以下である.
,は任意の非平方数としたとき,
の形のものをペル方程式と言う
さて,これからペル方程式の解き方を解説する が,なぜその解き方で解けるのかという証明は最後に書くことにします. とりあえずいまは,そうすれば解けるんだということだけで良きです.
例題1
方程式を考えます.
とおきます.
\begin{aligned} 2+\sqrt{7}&=4+\sqrt{7}-2 \\ \frac{1}{\sqrt{7}-2}&=\frac{\sqrt{7}+2}{3}=1+ \frac{\sqrt{7}-1}{3}\\ \frac{3}{\sqrt{7}-1}&=\frac{\sqrt{7}+1}{2}=1+\frac{\sqrt{7}-1}{2} \\ \frac{2}{\sqrt{7}-1}&=\frac{\sqrt{7}+1}{3}=1+\frac{\sqrt{7}-2}{3}\\ \frac{3}{\sqrt{7}-2}&=\sqrt{7}+2=4+\sqrt{7}-2\\ \frac{1}{\sqrt{7}-2}&=\frac{\sqrt{7}+2}{3}=1+ \frac{\sqrt{7}-1}{3} \end{aligned} つまり,] という風に循環することが分かった.
なんでと2を足したかというと,この循環を作りたかったんです.こういうときに,なぜか分からないときは,2以外の数にして同じ操作をしてみると分かるでしょう.例示は理解の試金石というやつです.
センター数IAとかで整数部分と小数部分に分ける問題とかがありますよね. ここでは,整数部分と小数部分に分けて,小数部分を再度連分数にすることを繰り返しています.
さて, ] ] と表せることもご理解いただけるかと思います.
\begin{aligned}\theta &=4+\frac{1}{1+\frac{1}{1+\frac{1}{1+\frac{1}{\theta}}}} \\ \theta &=\frac{14\theta+9}{3\theta+2} \end{aligned}
となり,この分母に注目してあげると, として,
で,を代入すると, \begin{aligned} \epsilon=8+3\sqrt{7}$ \\ 8^2-7\times3^2=1 \end{aligned} となって,解が求まりました.
として, となります.
ですね.
なんでこんな方法で求まるか知りたい人はお勉強しましょう.
実は僕も読んで写経とかしたけど,人にはちゃんと説明できる自信がないです......
ネットでぺル方程式とか,調べるも良いし,僕が読んでる本でも良いかなと思います.
実際に解いてみる
\begin{array}{} n + 1 &=& m^2 \\ 2n+1 &=& k^2 \end{array}
これからを削除すると
\begin{aligned}2m^2-k^2&=1 \\ k^2-2m^2&=-1 \end{aligned}
さあ解きましょう. ところで,右辺がマイナスですよね.これ,どういったnのときにマイナスが現れるのかは未解決問題らしいですね.
これは,を連分数展開したときの循環節の長さが奇数のとき,かつその場合に限り解を持つことが知られているそうです.(は?) さっきののときは長さが偶数でしたね.だから現れなかったんでしょうか.
とおきます.
\begin{aligned} 1+\sqrt{2}&=2+\sqrt{2}-1 \\ \frac{1}{\sqrt{2}-1}&=1+\sqrt{2}=2+ \sqrt{2}-1 \end{aligned} つまり, \begin{aligned} \theta=[2,\dots] \end{aligned}
\begin{aligned} \theta=[\overline{2}]=[2,\theta] \end{aligned}
\begin{aligned}\theta &=2+\frac{1}{\theta} \\ \end{aligned}
となり,この分母に注目してあげると, \begin{aligned}\epsilon&=\theta \\ &=1+\sqrt{2} \end{aligned}
\begin{aligned} 1^2-2\times1^2=-1 \\ \end{aligned} \begin{aligned} \epsilon^{-1}=\sqrt{2}-1,\epsilon^{\pm3}=7\pm5\sqrt{2} \end{aligned}
どれも-1になりますね.なんで奇数乗のときしかないかは下を読んでね.
無限に存在することの証明
このサイトに全て任せた!! www.compassare.org
最後に
ごめん,めっちゃ焦って書いたので,間違ってるところとかあるかもしれないです.
あったら指摘等していただけると幸いです.
あと,証明何もしてないわ......
あっ,Jsys2年間楽しかったです.今後ともなにとぞお付き合いのほどよろしくお願いいたします.
それでは,Merry Xmas!!!!!